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6.282017
自己肯定感と自信・価値、優越感との違い
このページでは「自己肯定感」と「自信や価値・優越感」との違いについてお話します。
自己肯定感の話題になると「自信」や「社会的な価値」とごっちゃになって話されることがよくあります。自己肯定感と自信や価値との違いを明確にすることで自己肯定感を高める方法が効果を増していきます。
自信や価値、優越感とは何か、はっきりさせてみよう
自信や人としての価値は誰でも持っているものです。大小さまざまですが必ず持っています。
家の中で風呂掃除するだけで価値がありますし、バイトしている時間はめっちゃ価値があります。お金もらえるんだから当然ですよね。コンビニバイトだろうと関係ありません。全世界で見たら人を不快にさせない接客ができるってすごいことです。
自信も必ず持っています。他人と仲良くしゃべれる自信がないという人は多いです。また、会社を立ち上げて有名企業の社長になれる自信がある人はほとんどいません。しかし、歩ける自信がないという人はほとんどいませんし、自分がやれそうなバイトを探して給料もらってくる自信がある人は多いです。日常普通にやっていることは意識していないだけで、自信を持っているからできるわけですね。自分にとって無意識にできてしまっていることは自信があるということです。そして、それをやることで少しでも誰かのためになったり、お金をもらえるようなら価値があります。自信や価値は誰でも必ず持っているものです。
そして、優越感は他人と比べて優れていることが嬉しいという感情です。誰かと比べなければ発生しません。優越感は自信と意味が被ることもあります。「あいつよりも〇〇ができる自信がある」という場合は、心の中で自信と優越感が同居している状態です。
まずはここを明確に認識できると話がスムーズです。
自己肯定感とは何か
自己肯定感とは、何を肯定する感覚なのか?←自己肯定感についての基本的な意味はこちらの記事で詳しく説明しています。簡単に説明すると「自分の感情や価値観を肯定する感覚」です。
「現状ありのままの自分を肯定する」というのは間違った認識なので注意しましょう。「成長したい」「今の自分に納得がいかない」「成長することは無理そうだ」「これなら自分にもできる」などなど自分が感じたことを全て肯定する感覚が自己肯定感です。このように感じたことを信じ、諦めたり、方法を変えたり、上手くいったりしながら、自分の感情や価値観を明確にしていくことができる人を自己肯定感が高い人と称します。
逆に、「自分の感じ方が間違っているかもしれない」とか、「こんなことで喜んではいけない」「これを難しいと思うのはダメな人間だ」というように、感じたこと自体を否定してしまう癖がある人を、自己肯定感の低い人と呼びます。
「自己肯定感」と「自信や価値」の違い
自己肯定感は「自分の感情や価値観を肯定する感覚」です。
自信は「自分は〇〇をすることができると信じる感情」です。
価値は「誰か(自分も含む)にとってプラスの感情を与える力」です。
優越感は「他人よりも自分が優れていて嬉しいという感情」です。
どれも意味が違いますね。自己肯定感と自信・価値・優越感がどんな関係なのかをまとめていきたいと思います。
自己肯定感と自信の関係
自己肯定感は自信を肯定します。自信は「自分は〇〇ができる!」と思う気持ちを信じるという感情です。自己肯定感は自分の感情を肯定する感覚なので、自信を肯定することが自己肯定感が高い状態だと言えます。逆に自信があっても「いやいや、まだまだ自分は未熟だからできないかもしれない」と思うのは自信を否定しているために、できることまでできないと勘違いしている状態です。
自己肯定感が低いと、本当は「自分は〇〇ができる!」と心の中で思っているのに、「〇〇ができる!なんて思うのはおこがましい。もっと謙虚にいかなくては…」と自信を否定します。この場合は「○○ができる!」を否定しています。おこがましいのは「〇〇ができる!」と思うことではなく、その感情を言動に出して他人に見せつけることがおこがましいのでしょう。感情をすべて肯定できていないため、自分の感情や価値観をとらえきれていません。このままだと「〇〇ができる!」という自信をいつまでも持つことができずに、次のステップへ進めなくなるかもしれません。
「自分は〇〇ができる!」という感情と、「謙虚にいかなくては」という感情は、まったく別の感情です。両立することができます。「自分は○○ができる!しかし、人前では自慢することなく謙虚にいきたい」というのが自己肯定感の高い考え方です。どちらの感情も肯定し、尊重できています。
自信はできる限りつけていくべきです。自分に納得するための要素になります。自分の感情や価値観にプラスになる行動ができるようになっていけば、自分にとって嬉しいことや楽しいこと、価値のあることが増えていきます。ただし、自己肯定感が低い状態で「何かができるようになること」を優先しても、そもそも何がやりたいのか、何に価値があるのかわかっていませんので無意味です。そして何かできるようになっても、できるという感情、つまり自信を肯定できません。自信は「自分は○○ができる!」という気持ちを信じる感情です。感情を肯定する癖がついていなければ、自信を持つことはできません。先に自己肯定感を高めましょう。
またよくあることですが、自信は他の感情や価値観を無視して暴走します。「〇〇ができる」ということに優越感(他人と比べて優れていることが嬉しいという感情)を感じ始めると、ほかの感情や価値観がわからなくなり自信だけを求めるようになります。他の感情が見えていない状態は、自己肯定感が低いことを意味しており、優越感はあるけどそれ以外の感情がすべて満たされていないということです。詳しくは以下の「自己肯定感と優越感の関係」でお話していきます。
自己肯定感と価値の関係
「自分に人としての価値があれば、自分を肯定できるかもしれない」という気持ちから、自己肯定感と価値が一緒に話題になることがあります。これは場合によっては正しく、間違いにもなります。もう一度確認しますが、価値は誰かにとってのプラスの感情を与える力であり、自己肯定感は自分の感情や価値観を正しいと思える状態です。
まず、人としての価値を高めたときに自己肯定感も一緒に高くなる例をお話します。自分の感情にとってプラスになることを突き詰めて、その感情に共感できる人にとって価値のあることができるようになった場合、自分の価値観と他人の価値観が重なっているため、褒められたりお金をいただいたり評価されることで自己肯定感が高まります。自分にとって「あぁ、素晴らしいことができている!」と感じているところに、誰かから「あんたは素晴らしい!すごい!」と言われることで、自分の価値観が正しいと思える要因になります。
逆に、人としての価値を高めたのに自己肯定感が低くなる場合もあります。それは、他人の感情にプラスになることだけを追い求めて、自分の感情がないがしろになっている状態です。自分は「これで人は喜ぶが、自分ならお金も払わないし全然いらない」と考えていることに「あんたは素晴らしい!よくぞやってくれた!」と言われている状態です。もしすでに自己肯定感が高いなら「ありがとうございます(否定する必要はない、謙虚にいこうという感情の肯定)」と言いつつ(自分がやりたいこと、価値があると思えるものはコレじゃない)と自分の感情を肯定できるでしょう。しかし、自己肯定感が低いままだと、自分の感情が満たされていないのに(自分はすごい人間になれたんだ)と考えたり(自分はこれでいいんだ)と間違った納得をしてしまいます。価値が高まっているので「すごい」ということは間違いありません。ただ、自分の感情が置いてきぼりです。本当にやりたいことや、価値を感じることに目を向けないまま「現状の自分を肯定」してしまいます。
何度も言いますが自己肯定感の「自己」は「現状ありのままの自分」ではありません。自分の感情や価値観です。他人にとっての価値を高めても、自分の価値観に合わないことをやっていれば、いつか生きることに虚しさを感じてしまいます。お金持ちになっても幸せじゃない人、っていうのはこの状態にあたるでしょう。「つまらないな」「生きている意味が無いな」と感じている状態で、自己肯定感が低いことを意味しています。自己肯定感はあくまでも自分の感情と価値観が正しいと思えている状態で、幸せは「自分の感情や価値観にプラスになるものを手にしている状態」です。
また、「他人をよろこばせること」が自分にとって最高の価値だと心から感じている場合はこの話に該当しません。起業家に多い価値観だと思いますが、すごく稀です。起業家を目指す人は優越感(他の感情に盲目な状態)や自信(〇〇ができるという感情だけを求めていて他の感情がないがしろ)だけを目的にしている人が多いので、他の感情すべてに対して目を向けられるように注意しましょう。
自己肯定感と優越感の関係
優越感は「他人よりも優れていて嬉しい」という感情です。自己肯定感は「自分の感情・価値観」を肯定する感覚です。
優越感は感情の一つです。膨大にある感情の中の一つですので肯定しましょう。劣等感も同じく感情であり、肯定すべきです。
問題点は優越感は他の感情や価値観を無視して暴走することがあります。自分が「このことに価値を感じない」と思えることでも「負けたくない、勝っていたい」という気持ちが強すぎて頑張りすぎてしまったりします。自己肯定感が高ければ「負けたくない、勝っていたい」という感情を肯定し、さらに「すべてのことで他人に勝つのは絶対に無理だ」という評価判断を肯定し、両立させた上で自分にとって一番良い選択をすることができます。「ここは頑張る必要がない」「ここは自分の価値観において絶対に負けたくないところだ!」と時間や労力の使い道を限定することができるのです。
この関係をわかりやすく例えてみます。
●「100m走でAくんに負けて、Bくんに勝った時」の優越感と自己肯定感
優越感に焦点をあてると、Aくんに対する優越感は全くない状態です。しかし、Bくんに対しての優越感はあります。優越感は感情です。「Bくんに勝って嬉しい!」と思う気持ちです。また、Aくんに対しては劣等感があるかもしれません。「Aくんに負けて悔しい、悲しい」という劣等感も感情です。
次に自己肯定感に焦点を当ててみましょう。優越感や劣等感に加えてほかにどんな感情や価値観が生まれ、肯定すべきなのでしょうか。
感情を見てみると、まずは「Aくんに負けて悔しい!」「Bくんに勝って嬉しい!」という優越感と劣等感があります。自己肯定感が高い状態であればこれらの感情を肯定することができます。自己肯定感が低いと「別に負けても悔しくない」と自分を偽ります。また「勝って嬉しいなんて思ってはいけない、Bくんに失礼だ」と自分の感情を否定します。自己肯定感が低いとこのまま自分の感情がよくわからなくなり、「勝ちたい」「悔しい」という気持ちや「嬉しい」という気持ちに目を向けられないまま、自分の価値観において価値のあるものから遠ざかります。結果、「やりたいことがない」「欲しいものがない」「人生はつまらない」という状態になります。
自己肯定感がとても高くなると「Bくんに勝って嬉しい!」と「Bくんの前であからさま喜ぶのは失礼だしカッコ悪い」、「Aくんに負けて悔しい!」と「Aくんに悔しがっているところを見られたくない」、などのたくさんの感情が共存する考え方ができるようになります。このように感じたことを全て肯定できれば「Aくんに負けて悔しい!Aくんの前では悔しがるんじゃなくて素直に負けを認めて次で勝つために頑張ろう!」「Bくんに勝って嬉しい!Bくんの前ではみっともなくに喜んだりせずに、もっと上を目指すことに集中しよう!」と言動を自分で決めることができます。
また、価値観が「走りが速いことは自分の中で重要なことじゃない」という状態なら、「Aくんに負けたのは悔しいけど、自分が誰にとって走りが速いことは重要なことじゃない」と感情をすべて肯定することが、自己肯定感の高い状態だと言えるでしょう。
優越感は他の感情や価値観を無視して暴走することがあります。しかし、感情に対する視野が狭くなりすぎないようにすれば、肯定すべき感情です。
自己肯定感を自信や価値を増やすことで埋め合わせようとしてはいけない
ここまでを理解できていれば、無差別に自信や人としての価値を大きくしても「生きやすくなる」とか「幸せになれる」ということに必ず近づけるわけではないということがお分かりいただけたと思います。
まずは、自分の感情や価値観を肯定することで、好きなこと、楽しいこと、欲しいものなどを明確にすることが大事です。感情や価値観にもとづいていない自信(優越感)や価値は、自分にとって必要ではありません。自己肯定感が高ければ「自分はこれで喜べる!」ということを確信できますので、その上に自信や価値を作っていけば自分にとってプラスになります。
たとえ誰かにとって価値の無いことでも、自分にとって価値のあることができれば生きることは楽しく、面白いと感じることができます。そして、「たった一人、自分しか持っていいない感情や価値観」はほぼあり得ません。自分の感情や価値観に共感できる人は少なからずいるでしょう。そのため、自分にとって価値のあることをやることで、誰かが喜ぶのはほぼ確実だ、と言えるでしょう。
まず優先すべきは自己肯定感です。そのうえに自信や価値を作ることでプラスになります。絶対に無差別な自信や価値で自己肯定感を埋め合わせようとするような考えはやめましょう。
まとめ
自分の感情や価値観の上に、「自信」「人としての価値」「優越感」を作っていけば、人生がどんどん良くなっていきます。自分の感情に対して「自分はきっとこう思うから、こうしておけば面白くなる♪」というように、明確な感情と価値観を持つことを優先させましょう。自信や価値・優越感を先に手に入れて自己肯定感を埋めようとする考えは、運が悪ければさらに自己肯定感を低下させます。つまり、自分の感情や価値観がもっと把握できない状態になってしまう、ということです。
今回はここまで!次の記事もお楽しみに^^